犯罪や非行のない、安全安心な社会の実現は、全ての人の願いです。
その実現は決して容易ではありませんが、安全な暮らしを守るためには、過ちを犯した人の再犯や再非行を、できる限り少なくする取り組みが欠かせません。
保護司は、犯罪や非行をした人たちが再び罪を犯すことがないよう、その立ち直りを地域で支える民間のボランティアです。
法務大臣からの委嘱を受け、全国で約4万6,000人が保護司として活動しています。
※保護司の身分や職務等については、保護司法に規定されていますが、保護司法の一部を改正する法律が、2025年12月3日、参議院本会議にて可決、成立し、同月10日に公布されました。改正法の施行は1年以内とされており、施行後は保護司の委嘱条件や任期が変更となります。(本ページの記載内容は改正法施行前のものです。)
保護司の組織
保護司の組織は、地域から全国へと連携体制が構築されています。
- 保護司会(地区組織)
配属された保護区ごとに組織される、活動の基盤となる単位です。 - 保護司会連合会(都道府県組織)
各保護司会をまとめ、都道府県ごと(北海道は各管轄区域)に組織されています。 - 地方保護司連盟(地域ブロック組織)
地方更生保護委員会の管轄区域ごとに設置され、広域的な連携を図ります。 - 全国保護司連盟(全国組織)
全ての組織を統括し、保護司活動の強化を推進する全国組織です。
保護司の身分
保護司は、非常勤の国家公務員です。給与は支給されませんが、通信費や交通費など、職務に要した費用の全額または一部が実費弁償金として支給されます。
任期は2年ですが、再任も可能です。実際に多くの保護司が、10年、20年といった長期にわたり活動を続けています。定年は原則78歳(一部の職務については、本人が希望すれば80歳)になるまで保護司として活動可能です。
保護司には、職務上知り得た関係者の秘密保持が求められます。
なお、職務遂行中や移動中の万が一の事故や災害に対しては、国家公務員災害補償法が適用されます。
保護司の職務
更生保護に関する基本法である更生保護法第32条は、「保護司は、保護観察官で十分でないところを補い」、「地方更生保護委員会又は保護観察所の所掌事務に従事する」と定めています。
保護観察官とは、心理学、教育学、社会学等の専門的知識に基づいて、犯罪者処遇や犯罪予防活動に従事する国家公務員です。
地方更生保護委員会及び保護観察所で勤務しています。
保護司は保護観察官と協働し、民間人としての柔軟性や地域の事情に通じているという特性を活かしながら、主に以下の3つの職務に従事します。
①保護観察
犯罪や非行をした人たちと定期的に面接を行い、更生を図るための約束事(遵守事項)を守るよう指導するとともに、生活上の助言や就労の手助け等を行います。
毎月、保護観察の実施状況を報告書にまとめて保護観察所に提出。保護観察官と協議しながら、無事に保護観察を終了できるよう働き掛けを続けます。
②矯正施設収容中の者の生活環境の調整
刑務所や少年院などに収容中の段階から、釈放後の帰住予定地の調査、引受人との話合い等を行い、受け入れ態勢を整えます。
釈放後、スムーズに社会生活に移行するために重要な活動です。
③犯罪予防活動
犯罪の予防を図るための啓発、宣伝、地域の関係づくりなどの活動も、保護司の重要な職務。
その中心的な活動である「社会を明るくする運動」は、国民一人一人がそれぞれの立場において力を合わせ、犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築くための全国的な運動です。法務省の主唱により、毎年7月を強調月間として、講演会、シンポジウムなど様々な活動を展開しています。
保護司の役割・意義
保護司法の第1条は、保護司の使命を「社会奉仕の精神をもつて、犯罪をした者の改善及び更生を助けるとともに、犯罪の予防のため世論の啓発に努め、もつて地域社会の浄化をはかり、個人及び公共の福祉に寄与すること」と定めています。
保護司の信条
私たち保護司は、社会奉仕の精神をもって、
一、公平と誠実を旨とし、過ちに陥った人たちの更生に尽くします。
一、明るい社会を築くため、すべての人々と手を携え、犯罪や非行の予防に努めます。
一、常に研鑽に励み、人格識見の向上に努めます。
(平成6年5月26日全国保護司連盟社員総会において制定)
保護司の委嘱手続
保護司の選任は、以下の手順を経て行われます(保護司法第3条)。
- 保護観察所の長が、保護司の資格条項及び欠格条項の関係について調査の上、候補者を選定。保護観察所ごとの「保護司選考会」に諮問し、意見を聴きます。
- 選考会の結果、推薦相当とされた人を法務大臣に推薦。その人のうちから法務大臣が委嘱します(保護司法第3条)。
- 委嘱された保護司は、都道府県内いずれかの保護区に配属されます(同法第2条)。
保護司の資格条項及び欠格条項
保護司は、次の4つの条件をすべて満たす方の中から委嘱するとされています(保護司法第3条第1項)。
- 人格及び行動について、社会的信望を有すること
- 職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること
- 生活が安定していること
- 健康で活動力を有していること
一方で、以下のいずれかに該当する場合は、保護司になることができません(同法第4条)。
- 拘禁刑以上の刑に処せられた人
- 日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党等を結成し、又は加入した人
- 心身の故障のため職務を適正に行うことができない人として法務省令で定めるもの
保護司の安全確保
保護司の自宅以外で保護観察の面接を行えるよう、地域における保護司の活動拠点「更生保護サポートセンター」の他、地域の公民館等の面接場所を順次拡大中です。
